野尻湖仮想博物館
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2003/03/11

野尻湖発掘調査の概要

 野尻湖の発掘調査はナウマンゾウが見つかることで知られていますが、動物を解体した痕跡や石器、骨器などが同じ地層から見つかっていることから、実際は1〜5万年前の旧石器時代にこの地方で人間達がゾウやシカを狩っていたキルサイト(狩場)の遺跡だと考えられています。野尻湖層が形成された時代は最終氷期と呼ばれる今より寒冷な気候の時代で、当時も発掘地の周辺は河口だったらしいということが明らかにされてきました。1962年から始まった野尻湖発掘調査は現在も、遺物がどのようにこの場所にもたらされ、どのように堆積していったのかを精密に再現するため、多くの参加者や研究者らによって続けられています。

発掘の歴史

 野尻湖発掘は1948年、干上がった野尻湖底にナウマンゾウの臼歯が露出していたのを近くの旅館の主人が発見したことが発端となりました。その後、発掘は1962年の第1次発掘から正式にスタートし、第1次から第4次までの調査によってナウマンゾウやオオツノジカの化石が最終氷期の湖成層である野尻湖層から出土することが確認されました。また、第3次発掘では大型哺乳類の化石とともに旧石器の剥片が出土し、氷河期の動物と旧石器人類のかかわりが注目されるようになりました。

 その後、蓄積した試資料を整理するためのブランクを置いて、第5次発掘(1973)が行なわれました。この発掘では旧石器と骨器が同じ層準から産出し、

野尻湖の地質

 野尻湖の発掘地の地質は、下位から池尻川岩屑なだれ堆積物、貫ノ木層、野尻湖層、J列層、西たんぼ層と呼ばれています。(註:15次発掘で層序の改訂が提案されています。)池尻川岩屑なだれ堆積物は野尻湖の東側を流れる赤川に大量の火砕流が流入し、その一部が川をせき止め、野尻湖を形成したと考えています。(野尻湖地質グループ, 1990)貫ノ木層は野尻湖の周辺に広く分布する沼沢性の堆積物で、その中に火山灰層やシルト層をいくつかはさんでいます。

 野尻湖層は貫ノ木層と連続して形成された湖成層で発掘地を含む野尻湖の西岸や池尻川低地の周辺に露出しています。

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野尻湖の人類遺物

 野尻湖では旧石器時代の石器や石器を作る過程を示すと考えられている人類遺物がいくつか発見されています。

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野尻湖の動物化石

 野尻湖ではナウマンゾウとオオツノジカの化石が多く産出します。ナウマンゾウは日本を代表する化石の象で温暖な気候を好み、森林に住むといわれています。ところが当時の野尻湖は寒冷な気候だったため野尻湖に住んでいたのは寒さに適応したナウマンゾウだと考えられています。野尻湖で見つかっているゾウの骨は多くの場合砕けた部分品で、そのため動物が死んでから湖まで流されてきたとも、狩りによって骨が砕かれたせいだとも言われています。野尻湖の専門グループでは新鮮な骨を実際に石で叩き割ってみて、割れ方を化石と比較することで人の手で壊されたかどうかを調べようとしています。


野尻湖で見つかるナウマンゾウの化石の例

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