野尻湖仮想博物館
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第14次発掘
2002/05 (revised 2003/03/09)

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第14次湖底発掘

野尻湖人が狩りをしていた証拠を探そう

 これまで続けられてきた発掘により、野尻湖湖底の広い範囲にわたる地質の特徴や遺物の分布について多くのデータがそろってきました。今日ではまだ発掘されていない部分についても産出するであろう化石や遺物についてかなりの予想ができるようになりました。そこでこれからの発掘では一つ一つの遺物からできるだけ多くのことを知ることができるように,精密な発掘方式を確立していくことが求められています。その第一歩として今回の発掘ではこれまで充分なデータのなかった>ラミナとの関係や面的な広がりといった,化石・遺物とその周辺の地層の関係について知るために遺物の記載に重点をおくことになります。

さて野尻湖人が狩をしていた証拠とは具体的に何を考えればよいのでしょうか。狩りと言っても,その方法,シーズン,規模などはあまり明らかになっていません。我々が遺跡から知ることのできる情報はキルサイトと呼ばれる狩りの跡です。キルサイトでは野尻湖人たちによってナウマンゾウを殺し,その場で解体されたと思われるいくつかの痕跡が見つかっています。それは:

  • その場でばらされたと思われる骨片(接合試料)
  • スクレイパーなど加工されたと思われる骨器が多く見つかる
  • ちょうど一体分のナウマンゾウの骨がひとところに出る(調和的試料)
  • さまざまな動物がいたにもかかわらずナウマンゾウの化石が圧倒的に多い(選択的狩猟)

 などですが,自然についたキズと人為的な加工痕などを区別するためには今まで以上に詳しい観察が必要になります。また地層にまたがって突き刺さったような骨化石などではそれがいつ突き刺さったのか,人によって突き刺されたのかなどを知るために化石とその周辺のラミナの配列などが重要な情報となります。

チャネルの存在

 これまでに蓄積されたデータから,下部野尻湖層の各層でチャネルと呼ばれる緩やかな溝が発見されました。また哺乳類化石はそのチャネルで集中的に産出していることがわかりました。チャネルは何なのか?どのようにして形成されたのか?またそこに哺乳類化石が集中する理由は何か?人為的か自然現象か?などまだわかっていないことはたくさんあります。

新しい発掘方式

 具体的には次のような変更が提案されました。しかし多くの発掘経験者は作業量が膨大になりすぎると考え,『ほんとに大丈夫か』との見方が有力です。実際やってみないとわからないこともあるので発掘が進むにつれ変更されると思われます。
  • 遺物が見つかったらいきなり取り上げない

  •  なかば土に埋まったままの状態で専門班を呼び,その後の処理について相談します。
  • 遺物直下の地層断面をスケッチする

  •  遺物と地層の関係を直接記録するため,遺物を取り上げる前に周辺の断面を出し,スケッチします。断面は長軸方向に平行な面と垂直な面について記録することになります。
  • 遺物が出たら層準別平面図に直ちに書きこむ

  •  これまではナンバリングの都合上,一つの層準を掘り抜いたところでまとめて書きこんでいましたが,遺物の位置関係などが不正確になる場合が多いため、その場で書きこむようになります。
  • 遺物の標高を測定する

  •  これまでグリッドの基準杭から張った水糸などを頼りに,産出した遺物の深さを測っていましたが精度を上げるためにレベルを使った測量を行ないます。厚みのある試料の場合は上面と下面についてレベルをとります
  • 化石を出すのに水を使わない
     これまで遺物表面の土を洗浄瓶を使って洗い流していましたが,翌日以降遺物が極端にもろくなってしまうため,水の使用は絶対に避けてください
  • 遺物をできるだけ詳しく観察する
     線条痕のようなものはないか,発掘中に削ってしまったところはどこか,地層のラミナとの関係は?周辺に細かい破片はないか,など現場で現物を見て感じたことは最も重要な情報のひとつです

発掘のスケジュール

 今回の湖底発掘も例年どおりのスケジュールとなっています。

グリッド


現場設計図案 2000/1/24

グリッドプラン(案)

凡例
■■■ グリッド(4m×4m)
■■■ 土捨て場
■■■ 見学者通路
■■■ テント・建物
■■■ 発掘地(水のひいた湖底)

班編成
G101班北海道・岩手・宮城・福島
G112班北関東・神奈川・静岡
G123班愛知・信濃町
G134班東北信・信濃町
F155班上越・新潟・信濃川・柏崎
F166班埼玉・むさしの・ひがし東京
F177班
F188班阪神わかやま・京都
F199班
D2110班福岡・七尾・山陰
D2211班山梨・岐阜
D2312班中南信