人工無脳は考える

人工無脳は気軽に「らしさ」を楽しめる、知能を持たない会話プログラムです。しかし人工無脳との会話はときとして、人工知能が持ち得なかった人間らしさ ― 即興、いたずら心、感情 ― を私たちに感じさせてくれます。

心が通い、和ませてくれるロボット。笑いやユーモアのセンス。それらは科学の知識だけで作り出せるのでしょうか?何でもありの人工無脳でそんなロマンを追い求めてゆきます。

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Article

記述できない心を記述する
その1
シンプルな感情を再現する方法
2016-02-07
その2
機嫌の変わる辞書型人工無脳
2016-03-17

明日の人工無脳を探して

一番簡単な人工無脳は、おはようと言われたらおはようございますと返事する、というオウムや九官鳥のような方法で会話します。

辞書にないことを言われたら~って何?と聞き返して返事を記憶します。次に同じことを言われたときは覚えた言葉で返事します。

日本語の意味が分かっているわけではありませんが、それっぽい返事をします。


ところが、この考え方で巨大な辞書を用意したとしても、それだけでは雑談が続くようにはなりません。雑談には小説のように必ず背景やストーリーがあり、話をする動機がありますが、辞書にはそれがないからです。


のちに雑談の会話ログを辞書代わりにした人工無脳も作られました。

それはあらかじめ記憶したチャットのログの行に似たことを言われたら、その次の行を返事として使うという方法で、かなり自然なやり取りもするようになりました。

しかし、これらの人工無脳でも相手との関係や気持ちによって内容を変えることはできませんでした。


ところが、例えば動物たちは日本語を使わなくても心の交流をしています。よい雑談をするには、もっと動物たちから学んだり、もっと心のメカニズムを探ったりする必要があるのではないでしょうか。「頭で」話す人工知能、「ハートで」通じる動物との交流。人工無脳がどちらも少しずつできるようになる。そんなやりかたもアリです。科学的か非科学的か、それは問題ではないのです。

この瞬間、人工無脳は学術的であることを止め、おもちゃの一種、トイプログラムになりました。しかし心理はもともと科学で全部は説明できていないもの。

それが、心の素直な姿ではないでしょうか。

2016-1-9

電子書籍のご案内

著者: 加藤真一 / 出版: Wiz Publishing (2015-12-22) / 紙に印刷した場合の長さ 推定123ページ

ASIN: B019QG38AM

第1章 深くて広い人工無脳研究の世界 / 1.1 人工無脳は言葉とハートを少しずつ / 1.2 会話の相手になる機械 / 1.3 科学と非科学の間に立つ人工無脳研究 / 1.4 本書の構成

第2章 歴史 / 2.1 概説 / 2.2 汎用コンピュータの時代(1950-1980年) / 2.3 スタンドアロンPCの時代(1980-1995年近傍) / 2.4 ネットワーク化の時代(1995-2005年近傍) / 2.5 SNS・クラウドの時代(2005年-)

第3章 実験 / 3.1 開発環境の導入と準備 / 3.2 実験1:ストーリー性と即興性 / 3.3 実験2:エピソードの記憶 / 3.4 考察

第4章 感情とその源 / 4.1 感情のプログラム / 4.2 感情の種類 / 4.3 人の心のメカニズム / 4.4 恐れと愛

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AUTHOR

工学博士
加藤真一(しまりす)

高校時代にPC-9801上で動く人工無脳に出会い、面白さとともに限界を感じる。

大学時代に「人工無脳は考える」を立ち上げ考察を試みるもほとんどなすすべなし。 その後、40代ごろから人の深層心理を学ぶ機会を得る。さらに様々な人間関係を見つめなおす経験を経て、すべては人工無脳研究の糧であったと考えるようになる。

大学では化学・無機材料系を専攻し博士号を取得。現在株式会社村田製作所勤務。

業務は人工無脳と全く関係ない。

skato21r@iris.eonet.ne.jp