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人工知能と人工無脳 |
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人工知能と人工無脳はどちらも脳の働きをプログラムで実現することを究極の目標とした,いとこのようなものである.人工無脳について細かい話をする前に,人工知能と比較することで,ここで対象としている人工無脳がどのようなものかを明らかにしてゆこう. 独断に基づき知能を図に示すような階層構造で表してみた.知能は基本単位であるニューロンからなっている.ニューロンは学習や刺激に対する応答を行なう,神経のモデルである.このニューロン同士が多数集まって複雑に絡み合うことでニューラルネットワークを形成し,推論,認識といった機能を発現する.さらに高次には理解,創造,問題解決,プログラミング,発明,発見といった精神活動があり,いわゆる「知能」と呼ばれる.人工知能開発のアプローチのひとつとして研究者たちはニューロンのモデル化を行ない,ニューラルネットワークをソフトウェア的またはハードウェア的に作って活発な研究を行なってきた.最終的にはニューラルネットワークをどんどん高度なものにすることによって知能の発現を目指す,いわゆるボトムアップ方式である.とても夢のある研究領域であるが,現在のところいくらニューロンを積み重ねたところで意識が芽生えそうにない様子である.ニューロンのモデルが実物の神経細胞に比べて単純過ぎることもあるが,意識自体のからくりがよくわかっていないことも一因と思われる. 人工知能へのもうひとつのアプローチは知能の直接的なモデル化である.これは問題解決,探索やオセロ,チェス,碁など知的ゲームの思考ルーチンに代表され,個々の機能を別々にモデル化し,プログラムとして表現することに成功している.なかでも1940年代にその基礎理論が作られ,1960年代にE. Feigenbaumらによって開発されたエキスパートシステムは現在でも医療診断などに応用されている.診断用エキスパートシステムでは症状について質疑応答を繰り返すことで病名や進行度について推論する機構が実装されていた. いっぽうわれわれが目指す人工無脳は意識のごく表層的な現象だけを考えることで,手軽にそれっぽい何かを作ることを目指している.すなわち知能の獲得を目的としていない.具体的には会話の中にルールを見出し,それをシミュレートすることで意識があるふりをするというトップダウン方式である.あくまでも意識があるフリや知能のあるフリをするだけであるので無脳または無能という呼び名がふさわしい. |
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| 人工無脳のココロ I |