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2003/12/13

人工無脳のキャラクタ定義

Next Session:会話のモデル化と実装

人工無脳に性格や人格を与えるにはどうしたらよいか。この問いをもう一歩進めると「人間の性格や人格はどのように記述できるか」という問題になる。よくある心理テストで自分の答えに驚くように、われわれは自分の人格や思想といったものを想像以上に分かっていない。これを踏まえて人工無脳のキャラクタ定義について考えてみる。

「人工無脳に100の質問」

われわれは、誰かの意見を全く鸚鵡返しにする人物や意見そのものをもたない人物と会話をしていても面白さを感じない。すなわち人間が人工無脳や人間を会話の相手として認めるには、相手に自分とは異なる価値観を見出す必要があると思われる。ところが価値観、思想、性格、人格などの言葉で表されるものは誰にでも備わっているのだが、それが具体的にどのような内容かを説明するのは難しい。「あなたにはどんな思想があるのか?」などと聞かれて即答できる人はほとんどいないだろう。多くの場合思想があるのかどうかさえ意識していない。自分の思想さえ明らかでない状態では、他者である人工無脳の思想を設計することは極めて困難である。

そこで、逆に人間の人格を知るために現在用いられている技術を参考にしよう。実用化されているものには適正検査や人格検査11検査法にはたくさんの種類があるが、とくに質問紙法はデータが扱いやすい。とよばれる調査法が幾つも開発されていて、SPI、矢田部-ギルフォード性格検査、クレペリン、エゴグラムなど入学時や就職時にこれらを受けたことがある人も多いはずである。これらのテストは、それぞれの目的に合わせて職業適性に関する質問や単純作業などで構成されている。とくに人格に関係するテストの興味深い点は、たくさんの質問の集合としてそれを表現しようとしているところにある。さらにテストの多くは被験者の首尾一貫しない回答や、うその回答を検出または排除できるように注意深く設計されている。しかし一つ一つの設問を観察してみると、

他人をきびしく批判する方ですか。 ○はい ○いいえ ○どちらでもない

のように、「自分ではやさしいと思っているが、同僚からみたら厳しい」など本当の人格と本人が自覚している人間像が一致するわけではない場合もある。すなわち個人の思想や人格は矛盾があったり、どこか曖昧なままだったりしているのが普通だと考えるべきである。すなわち、人格というものは単純な計算式に還元できるものではなく、無数の質問によってしか表現できないのではないだろうか。

以上のことを踏まえて人工無脳に性格づけをおこなうには、ある状況では人工無脳はどう行動するか、という表を用意し、これを辞書として会話で使う辞書と併用すればよいと考えられる。

つづく